暴落後は配当貴族に期待?
S&P 500配当貴族指数は、暴落後に市場平均をアウトパフォームする傾向があるようです。
S&P 500配当貴族指数は、S&P 500構成銘柄のうち、過去25年間連続して毎年増配している優良大型株のパフォーマンスを測定しています。
さらにS&P500やTOPIXと異なるのは、一般的な市場平均指数は「時価総額加重平均」で算出されているのに対し、配当貴族は各銘柄「均等加重」で算出されています。
そのため、S&P500のように少数の銘柄にウエイトが偏ったり、バブルの発生と崩壊で乱高下するリスクを、比較的小さくすることが期待できます。
※SBI証券HPより
上図は、S&P500と米国配当貴族指数の長期チャートを比較したものです。
2005年から2019年の期間では、配当貴族が大きくアウトパフォームしています。
ここで注目したいのは、2005年から2009年の間両社のパフォーマンスは、ほとんど変わらないということ。
そして2009年以降、配当貴族が急角度で上昇しています。
その理由を私なりに考察します。
・なぜ暴落後に強いのか
配当貴族はS&P500の構成銘柄かつ25年以上連続増配している銘柄
言い換えると、
長年安定して収益をあげている大企業
ということです。
実際に構成銘柄には、電力会社や医薬品、生活必需品セクターの企業が多く占めています。
25年という期間は、2・3回は株価暴落や景気後退期を経験します。
他にも、戦争や大規模な自然災害、不祥事やまさに今起こっている感染症など、様々な危機が訪れることもあるでしょう。
多くの障害を経験したにもかかわらず、連続増配を続けている大企業の詰め合わせ指数なのです。
リーマンショックの時は、一旦市場全体の動きに合わせて暴落したが、すぐに収益の安定性が評価され、値を戻した。
このように考えられます。
・リーマンショックだけじゃない
先ほどの図は、2005年以降のチャートでしたが、もっと前から見てみましょう。
※楽天証券より
こちらは2000年からのチャートです。
配当貴族の驚異的なパフォーマンスが見て取れます。
ここで注目なのは、2000年から2003年の部分。
この時期は、ITバブルの崩壊がありました。それによりS&P500は、ずるずると下がり、2000年の値に戻すのに5年以上かかっています。
それに対し、配当貴族は暴落が起こっていません。
ITバブルを作り上げていたのは、主に新興IT企業でした。
それらの多くは、配当を出しておらず(利益すら出していないものも多かった)、もちろん25年を超える歴史もなかったので、配当貴族指数には組み入れられていなかったのです。
そのため、配当貴族は、ITバブルが崩壊しようが無関係で、無傷でした。
配当貴族指数が暴落に強いのは、歴史と実績に裏打ちされた優良企業群だからです。
そして均等加重で算出されていることも、バブルを形成しない要因の一つです。
S&P500は時価総額加重型なので、期待ばかりが大きく実績を伴わない「高PER銘柄」がかなりのウエイトを占めていました。
しかし、均等加重ならウエイト付けにPERは無関係なので、それは起こりません。
今はやりのインデックス投資。各国市場でインデックス投資の占める割合が年々高くなっているそうです。
しかし「インデックス投資=S&P500やTOPIXのような市場平均に投資」
というような先入観があります。
しかし、
・低リスク
・低コスト
・手軽
これらの要素がそろっていれば、市場平均にこだわる必要はありません。
あくまでご紹介したデータは過去のものであり、将来のリターンを保証するものではありませんが、検討する価値はあると思います。