【本紹介】医者の私が薬を使わず「うつ」を消し去った20の習慣
著者の西島賢也氏は、「薬を使わない精神科医」として多くの患者の診療にあたっている医師です。
著者が「薬を使わない」という方法にたどり着いたのは、彼自身が7年間うつ病に苦しんだ経験が基になっています。
“「症状」は、薬でも麻痺させることができるかもしれません。でも、「原因」は、薬では取り除けません。”
その「原因」を取り除くためのエッセンスを、「20の習慣」に落とし込み、本書で紹介しています。
その中で気になったものをご紹介します。
・著者について
・「自分のため」に生きる
・食生活を改善する
・感想
・著者について
著者は、精神科医でありながらうつ病に長い間苦しんでいました。
大学卒業後、研修医として勤務。早朝から夜遅くまで、そして土日も仕事。帰宅してもいつ呼び出されるか分からない。
このような環境で、常に緊張し、一時も休まることがない日々を過ごし、真面目で完璧主義な性格も災いし、心身に不調を感じて1カ月休職することになりました。
休職期間中にうつ病と診断され、それから7年間も闘病することになりました。
7年間、医師として勤務しながら、同じ病院の精神科で定期的に受診し、抗うつ薬を飲み続ける日々。
抗うつ薬を飲むことで、気分が安定することもあるが、治ったわけではなく、病気そのものは一向に良くなりません。
著者自身が精神科医として、患者を診断し、薬を処方する。
自分も同じように治療しているが、一向に治らない。
この状況に疑問を持ち、医師以外が書いた本を読みあさり、
「薬を使わずにうつを治す」という治療にたどり着いたそうです。
うつになると、食欲が無くなったり、朝仕事に行こうと思っても起きられなかったりといった症状が現れます。
これらの症状は、うつを治すための身体からのサインです。
これは、風邪をひいた時に細菌やウイルスを撃退するために、体温が上がるのと同じだとしています。
しかし薬は、これらの症状を抑え込むだけで、原因は無くなっていないのです。
身体が示すサインにしっかりと耳を傾け、原因を探し出し、取り除く。この過程に薬は必要ないのです。
・「自分のため」に生きる
著者は、うつの症状は、「苦しい考え方を見直してほしい」というメッセージであると捉えて、自分がやっていることを見直すチャンスだと説いています。
うつの人は「減点主義」の考え方をしています。
失敗したことやうまくいかなかったこと、他人より劣っていることに注目してしまい、どんなに頑張っても、自分をほめることがありません。
減点主義では、心がつらくなるばかりです。そして自分をほめて認めることができない人は、他人をほめて受け入れることができません。
自分を大切にできない人は、他人のことも大切にできません。
それを変えるために、「加点主義」になる必要があります。
加点主義に変わるためには、できていることや長所に注目し、紙に書きだすという方法が有効だそうです。
書く内容は、「家族にあいさつした」「花の名前を知っている」など小さなことでも良いそうです。
自分の良いところや長所に目を向け、自分で自分を認めてあげる。
毎日続ければ、そういった思考に変化できるそうです。
・食生活を改善する
東洋医学や日本の古くからの食事療法には、「心の不調や病気は体から治す」という考え方があるそうです。
著者は、ナチュラル・ハイジーンという食事法を自分なりに工夫して実践しているそうです。
その方法は、「1日に果物を4種類、植物性食品を9種類。さらに玄米を食べる」というもの。
この方法を取り入れたことで、体調や気分がよくなり、数が月で体重が20㎏も減ったそうです。
著者は、このやり方は極端な方法なので、無理に真似しなくてよいと述べています。
「この食事法でなければならない」と考えるのではなく、自分に合う食事法を探し、それを続けることが大切だと説いています。
さらに、食べ物だけでなく、飲み物についても「毎日、体重の30分の1の水をとる」ことを薦めています。
人間の体の70%は水でできており、老廃物や有害物の排除をしてくれます。
この「30分の1」はあくまで目安で、自分の体に合う量を飲むことが重要だとしています。
食事を変え、体を健康にすることで、精神の不調に立ち向かう体力を備えることができます。
・感想
本書を読んで、「薬を使わない治療」という思想が非常によく理解でき共感できます。
仕事が原因でうつになっているのに、薬を飲み症状を抑え込んで、仕事に行っていては、良くなるはずがありません。
私自身軽いうつになった経験があります。
非常につらかったのですが、幸い何もしない時間を作ることができ、何とか回復することができました。
私がうつになった原因は、やはり生活習慣と考え方にありました。
夜遅くまで起きて作業し、十分な睡眠時間を取れないまま朝起きる。この生活を辞め、しっかり睡眠をとるようにしました。
そして、完璧主義を手放し、他人が作り上げた理想の人間像を捨て、自分なりの理想を描き、追い求めるようにしました。
今ではいい意味で自分中心の考え方ができています。
自分にできること、自分が好きなこと、自分がやりたいこと。
目を向けるものが変わりました。
本書に書いてあることは、私の体験ともリンクし、非常に共感できる内容ばかりでした。
幸せに生きるために、価値ある本だと思います。