お金の心理学 現状維持バイアス
心理学用語の「現状維持バイアス」をご存知でしょうか?
現状維持バイアス:人は変化を避けて現状を維持しようとすること
この現状維持バイアスを利用し、利益を得ているサービスは数多く、知っておかないと損をするかもしれません。
・現状維持バイアスの威力
・現状維持バイアスで損をする
・現状維持バイアスの威力
現状維持バイアスとは、どのように働くのか。
臓器移植の同意率に関する調査を例としてご紹介します。
2003年、ヨーロッパ各国を対象にした調査では、臓器移植の同意率が高い国と低い国に別れました。
2つのグループの差は大きく、高いグループの同意率は平均で90%以上。一方、低い国では15%ほどでした。
※出展:http://www.dangoldstein.com/papers/DefaultsScience.pdf
なぜこのような差が生まれたのでしょうか。
文化?宗教?経済? どれも違います。
答えは、同意確認する際の「問い方」にありました。
・同意率が低い国
オプトイン方式:「臓器提供の意思がある場合は○で囲んで下さい」
・同意率が高い国
オプトアウト方式:「臓器提供の意思がない場合は○で囲んで下さい」
つまり、意思を確認する際の設問の「デフォルト」が異なるだけなのです。
たったそれだけなのに、結果に大きな影響を与えました。○で囲むだけなのに、現状維持バイアスが働き、変化を嫌ったのです。
・現状維持バイアスで損をする
Amazonプライムは、会員費が月額500円、年間プランならお得な年額4,900円です。利用している人とても多いですよね
プライム会員には無料体験があり、1ヶ月無料で利用でき、その後解約手続きをしなければ有料会員へ自動で移行されます。
ここで、現状維持バイアスが働きます。
Amazonプライムを不要だと思っていても、「解約」という変化を嫌い、「継続」という現状維持を選んでしまうのです。
他にも現状維持バイアスにより損をする場面はたくさんあります。
「格安SIMにすれば得をするのが分かっているのに、3大キャリアを利用し続ける。」
「転職した方が年収が上がるのに、現職に留まる」
などなど。
もちろん投資においても大いに影響を与えます。
投資家なら、このような経験があるでしょう。
人間である以上、現状維持バイアスを完全に避けることはできません。
しかし、「現状維持バイアスというものが存在する」と知っているだけで、大きく行動を変えることができるかもしれません。