【本紹介】千年投資の公理
著者のパット・ドーシーは、モーニングスター社の株式リサーチ部門の責任者をしていた人で、本書では「経済的な堀」の概念について書かれています。
経済的な堀はライバル社から企業を守り、長期的な収益を獲得させるとこができるそうです。
ウォーレン・バフェットもこの概念を重視していることは有名です。
彼の保有銘柄のコカ・コーラは、強力な経済的な堀を有し、全世界で飲料を販売しています。
この本は、「経済的な堀」を以下の4つに分類し、説明しています。
・無形資産
・乗り換えコスト
・コストの優位性
・無形資産
この分類には、ブランド、特許、行政の許可などを有している企業です。
テレビを買うときに、「ソニーだから」という理由で買う人は少ないです。「価格と性能」を重視し選びます。
このような企業は、無形資産の経済的な堀がありません。
それに対して、ティファニーは、「ティファニーだから」という理由で、他社より高値でダイヤモンドを売ることができます。
・乗り換えコスト
こちらの分類は特にソフトウェア会社に多いそうです。
企業に財務会計や人事などのソフトウェアを販売導入し、保守サービスまで行っています。
これらの製品は一度導入されると、会社の事業活動の隅々まで密接に絡み、無くてはならないものになります。
他社の製品に乗り換えるには、金銭的なコストだけでなく、労力や時間といったコストも膨大な量になります。
これが、他社からの攻撃を守る堀になります。
こちらでは、クレジットカード会社が例にされています。
クレジットカード会社は、「皆が使っているから多くの店舗で使える。いろんな店舗で使えて便利だから新規ユーザーが獲得できる」
という、「皆が使っている」という堀が存在します。
新規のクレジットカード会社が参入し、VISAやマスターと争おうとすると、膨大な時間と労力が掛かります。(現実的ではない)
・コストの優位性
砂利メーカーは、新たな採石場は望めないし、重い砂利を遠くまで運ぶのはコストがかさみます。
顧客に近い会社が優位になります。つまり距離が経済的な堀となるのです。
経済的な堀の概念は、長期投資では非常に重要だと思います。
しかし、理解するには、その企業や業界について深く知る必要があり、難易度が高いと思いました。
つまり、よく理解していない銘柄に投資するな。ということですね。
この本には、その他にも
・経済的な堀を持つ企業の探し方
・経済的な堀が崩壊するとき
・企業価値のはかり方
についても、書かれています。
何度も何度も読み返し、理解したい一冊です。