新興国の経済成長とリターン
高成長≠高リターン
この直観と異なる事実は、下図チャートではっきり結果が出ています。
VWO:FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指すETF
VT:FTSEグローバル・オールキャップ・インデックスのパフォーマンスへの連動を目指すETF
つまり「新興国インデックス VS 全世界インデックス」
2011年末あたりから現在までのチャートを比較したものです。
※Yahoo! Financeより
もちろんVWOには、高成長が続く国々が指数に組み入れられています。
中国やインドはGDP成長率6%以上を長年続け、驚異の経済成長を遂げています。
VWOのPERは14倍と決して高くありませんし、ここ数年新興国市場が安いと言われ続けていました。
それなのになぜ、このような結果になるのでしょうか。
※VWOファクトシート
そもそもGDPとは何でしょうか。
SMBC日興証券HPによると
「GDPとは国内総生産のことで、一定期間内に国内で新たに生み出されたモノやサービスの付加価値のことです。GDPには日本企業が国外で生産した付加価値は含まれません。」
つまり、GDPとは例えば日本の場合、「日本人が・日本企業が」ではなく「日本国内で」ということです。
新興国経済が高成長しているからと言って、それに見合うほど現地企業も高成長しているとは限らないのです。
J.P. Morgan社の資料でそれを裏付けるようなデータがありました。
※J.P Morgan社より
このグラフでは、アメリカが最もEPS成長率が高くなっています。日本も新興国とほぼ同水準です。
しかし、GDP成長率は
となっています。
1.GDP成長率とEPS成長率は、きれいに相関しない。
2.株価=EPS×PER=(一株当たりの利益)×(投資家の期待値)
株価に影響があるのは、EPSであって経済成長率ではないのです。
そして冒頭の
高成長≠高リターン
という事実が浮かび上がります。
ここまでの話は、あくまで私見であり、実際の経済や株式市場の動きは、より複雑なのでこんなに単純な話ではないかもしれません。
しかし、直感で判断し投資をすることは、危険なことは確かです。
しばらく新興国市場は、がっかりするようなパフォーマンスですが、私はポートフォリオに一部組み入れており、これを変えるつもりはありません。
過去の成績は、未来を決めるものではないからです。
ここ10年程の新興国市場の低迷はたまたまで、今後目覚ましいリターンをあげる可能性は十分にあります。
高成長≠高リターンは、高成長が「必ずしも」高リターンにつながるわけでない。という意味です。
私は、eMAXIS Slim新興国株式インデックスを毎月積立しています。
手数料が安く、配当再投資できるのでオススメの投資信託です。
ここまで新興国市場のネガティブな面を書いてきましたが、これからも思考停止でインデックス投資を続けていきます。